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T 人にも環境にもやさしい木製サッシ

 気密性、水密性を大きく向上させながら、木材の持つ高い断熱性、防露性を生かした木製サッシ。それは、現代の窓に要求される基本性能を完璧にクリアするサッシです。さらに、木の質感から生み出される高いインテリア性能や環境へのやさしさなど。木材ならではのメリットを生かしたさまざまな高性能が、新しい時代の高品質な窓づくりを実現していきます。

1 高い断熱性
 サッシの材料として、アルミや樹脂等にはない木材ならではの魅力。それは、高い断熱性です。
 建物の断熱性能を高めていくうえで、窓に断熱性の低い(つまり、熱を逃しやすい)アルミ等の材料を使うことは大きな障害となります。アルミサッシに劣ることのない気密性を実現しながら、高い断熱性を誇る木製サッシ。その活用は、建物全体の省エネルギー性能を一段と向上させることにつながります。

熱伝導率比較
 熱の伝わりやすさを示す熱伝導率の比較です。
 木材はアルミの約1200分の1の数値であり、断熱性には歴然とした差があります。
材  種 熱伝導率(W/m・K)
木材  0.09〜0.19
プラスチック(塩ビ) 0.18
40
アルミニウム 175

熱貫流率比較
 住宅の次世代省エネルギー基準と指針の「計算に用いる熱貫流率」に示されている各種サッシの熱貫流率を比較したものです。
 木製サッシの熱損失はアルミに対して20〜30%少ないことを示しています。
材  種 熱貫流率(W/m2・K)
木製(複層)  2.91
アルミ・プラスチック複合(複層) 3.49
アルミ製(熱遮断構造/複層) 3.49
アルミ製(単板2枚) 4.07
注)空気層12mm、複層:複層ガラス

2 結露のない快適性
 建物の気密性が向上し、さらに冷暖房設備が普及するにしたがい、大きな問題となってきたのが結露です。激しく生じた結露水は壁を汚したり、窓受けを腐らせる原因にもなっています。また、結露の発生とは、そこで熱交換が起きていることであり、熱効率が低下していることも意味しています。
 木製サッシの高い断熱性能は、この結露の防止に大きな効果を発揮します。相当な悪条件下においても、木製部分への結露の心配はありません。
 さらに、木製サッシは標準的に複層ガラスを採用しており、ガラス面も結露しにくいものになっています。

各種サッシの防露性能
各種サッシに結露を生じさせる相対湿度の推定値比較です。
結露は室内の湿気を含んだ暖かい空気が冷たい窓面に接して冷やされることにより生じますが、熱伝導率の高いアルミサッシの場合、アルミ製の枠部分に結露が発生してしまいます。
これに対して、熱伝導率が低く、しかも厚い枠材を持つ木製サッシの場合は木枠部分に結露することはありません。


3 すぐれたインテリア性
 木製サッシに限らず、木材はインテリアの素材として常に注目を集め、また多くの人々に好まれているものです。
 これは、木材の持つ光学特性やその質感、肌合いといったものが私たちの視覚にフィットしているからであり、木の持つやさしさ、やわらかさといったイメージもそこから生まれています。
 窓は建物の印象を決定づける大きな要素でもあり、木製サッシが建物の外観・内観のイメージ向上に果たす役割は高く評価されています。一般住宅はもとより、学校、公共施設、病院・老人医療施設など、「ぬくもり」「やすらぎ」などを志向する設計デザインにおいて、木製サッシを採用するケースが増えています。

ヒノキの電子顕微鏡写真
 木材は表面が滑らかに見えても、小さな細胞から構成される細かな凹凸があります。
 このため光の散乱が、ツルツルでもザラザラでもない適度な光沢感を生じさせています。


各種材料の分光反射曲線
 木材は紫外線の反射が少なく、目に与える刺激が少ないことが特徴です。
 逆に赤外線の反射は大きく、これが木材に温かみを感じさせる要因となっています。
 また、木材を視覚的に特徴づけるものとしては"木目"と"色調"があります。その選択によって、例えば「重厚」「穏和」「洗練」「繊細」などの雰囲気をさまざまに演出することが可能です。


近年の木製サッシには豊富な仕様と開閉方式が用意されており、多種多様な建築デザインのニーズに応えています。
また、加工が比較的容易なこともあり、特注品にもフレキシブルな対応が可能です。
 

4 地球にやさしい環境性能
 木製サッシは、その使用時における省エネルギー性能だけでなく、製造段階で放出される炭酸ガス量もきわめて小さく、地球温暖化などの問題を引き起こすことが少ない工業製品と言えます。また、廃棄の段階でダイオキシン等の有害物質を出すこともありません。
 木材の利用が森林を破壊し地球環境の悪化を招いているという主張もありますが、適切な伐採と植林を前提する、秩序ある木材の利用こそが地球環境を守る有効な手段です。
 資源の育成から製造、消費、廃棄までの長期的な視野に立つとき、木製サッシの利用は地球環境保護の貢献にもつながるものと考えられます。

アルミサッシと木製サッシの製造エネルギー及び炭素放出量比較
 1m2あたりの窓枠サッシについて、アルミ製と木製のサッシ製造にかかるエネルギーと炭素放出量を比較したものです。
 窓を製造するのに、アルミサッシは木製サッシの約135倍の熱量を使い、それだけ炭酸ガスの発生に関与することを示しています。
 また、炭素放出量についても、材の場合は炭素が固定・貯蔵されていることにより、その放出量には大きな差が生じています。
項  目 木製サッシ アルミサッシ
サッシの全重量(kg) 11.2 11.2
単位製造エネルギー(MJ/kg) 3.1 435
全製造エネルギー(MJ) 35.7 4832
炭素放出量(kg) 2.8 97
炭素貯蔵量(kg) 5.6 0
放出量−貯蔵量(kg) -2.8 97
木材とアルミの炭素放出量の差(kg) 99.8
アルミサッシを木製サッシに代替することによる炭素放出量の軽減量(kg/kg) 8.9

接着剤や塗料については、安全なものを使用するよう配慮しています。

5 木の強さを引き出す加工技術
 木はそのやさしい質感とひきかえに"弱い"というイメージを持たれがちですが、実際には同じ質量あたりで比較すると、木材はアルミに比べて非常に強い材料であることが実証されています。
 ただし、木は「曲がる」「くるう」「腐る」などの性質を持っていることも確かです。木製サッシは、木の持つこれらの性質を正確に理解し、これを技術的に克服し、利用した高精度の工業製品です。乾燥、塗装、加工、組立等の技術開発と品質管理により、高性能の木製サッシ製品を安定的に供給することが可能となっています。

各種材料の比強度
 異なった材料の引っ張り強さを比較した指標です。
 材料の強さを質量で割った値で、スギはアルミの約5倍であることを示しています。


木材は乾燥させることで「くるい」を心配する必要がほとんどなくなります。およそ15%程度の含水率まで乾燥させると、木材の曲がりやくるいがおさえられ、サッシの素材として最適な性能を発揮できるものとなります。

木材の腐食・カビは含水率がおよそ20%以上のときに発生するおそれがあります。人工乾燥によって含水率を15%以下にしておきますと、水分がかかっても外部が乾燥すれば自然に元の含水率に戻ります。また、水分の蒸発を促すものとしては、塗装技術もあげられます。詳しくは
木材保護塗料についてを参照ください。

木製サッシの製造工程で使われるほぞ組には、耐久性のある接着剤が使用されています。

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